臨床医学

【わかりやすい】臨床医学の「異常歩行」

このページで覚えるポイント
 
 異常歩行について学ぶ
 

異常歩行の問題はよく出題されます。特にこの歩行が見られるのはどれかなどの問題は多く見られるので覚えておきたいポイントです。

早速ですが、現在のこの分野の理解度の確認のため下記の問題に挑戦してみてください。

では次の項目から本題に入ります。

歩行について

歩行は筋肉や骨・間接の疾患・神経系の疾患などによって特徴的な変化の見られることがあり、診断する上での意義が大きい

臨床的な話をしますと、歩行の仕方で普段どの筋肉を優位に使っているかや姿勢の癖などがわかります。

国家試験的には特徴的な歩行には名前がついていますのでその名前と病態をセットにして覚えていきます。

異常歩行一覧

 突進歩行(小刻み歩行・すくみ足歩行)
 痙性片麻痺歩行(草刈歩行・ぶんまわし歩行)
 痙性対麻痺歩行(はさみ脚歩行)
 失調性歩行(千鳥足歩行)
 鶏歩
 動揺性歩行(アヒル歩行)
 ヒステリー性歩行
 間欠性跛行
 トレンデレンブルグ歩行
 疼痛性跛行
 随意性跛行

上記が国家試験で問われる歩行の問題です。
歩行と跛行の違いですが、覚え方として疼痛が発生するものを跛行と覚えます。(例外もある)

はこう【跛行 claudication】
跛行とは歩行異常の一種をいい,俗に〈びっこ〉ともいう。歩行中の肩の上下運動,体幹の左右前後への異常な振れ,下肢の運び,歩幅,体重を支える立脚期からその脚を地面から離して前方に進める遊脚期への時間的間隔などを総合的に分析して,歩行が異常か正常かを判定する。

引用元:株式会社平凡社/世界大百科事典 第2版について

調べてみると「跛行」という定義の中に疼痛の概念はなかったので上記は覚え方のイメージです。

突進歩行

パーキンソン病では前かがみの姿勢になっているが、背中を後ろから軽くつくと、身体の重心が前へ移り、加速的に歩行が早くなる。

突進歩行といえばパーキンソン病ですが、突進歩行に加えて覚えるポイントがあります。

パーキンソン病の歩行について

 突進歩行
 前方突進
 小刻み歩行
 すくみ足歩行

これらをまとめてパーキンソン歩行とも言います。

パーキンソン病で見られないものはというような問題で出題されるので覚えておきます。

パーキンソンの症状がYou Tubeにあげられていましたので載せておきます。

痙性片麻痺歩行

脳血管障害などによる片麻痺に見られる。麻痺下側の下肢は硬直してぎこちなく動く

片麻痺患者は麻痺側が硬直して動きにくいので、患側を動かす際に、股関節を中心にして半円を書くように歩きます。

このときの足の動きは外転・ぶんまわし運動をしているのでぶんまわし歩行もしくは草刈り歩行と言います。

痙性片麻痺歩行について

 脳血管障害(片麻痺)
 外転ぶんまわし運動
 ぶんまわし歩行
 草刈り歩行

痙性対麻痺歩行

脳血管障害などで両側の錐体路に障害がある場合、対麻痺が起きる。この場合、両膝が重なり合うようにして歩き、両側が内側に向いた足尖を交互に交差させながら爪先歩行を行う。

先程の歩行は片麻痺での歩行ですが対麻痺になると両側がやられてしまうので両膝が崩れてくっついてしまいます。

このときに膝から下を動かす様子がハサミの動きに似ているのではさみ脚歩行と呼ばれています。

痙性対麻痺歩行について

 脳血管障害(対麻痺)
 はさみ脚歩行

失調性歩行

失調性疾患では円滑な運動ができないために、歩行が拙く、不確実な状態になる。

失調性歩行は大きく分けて2パターンあります。
一つは脊髄後根・後索障害で深部知覚の障害が発生したパターンです。
この場合、両下肢を開き、一歩ごとに脚を高く上げて眼で足元を確かめながら脚を動かします。

理由は眼で確認しないといま脚がどこにあるかわからないためです。大げさに脚を上げないと上がっているか不安だったり目で見えるところまで上げて確認してから歩きます。

もう一つは小脳性障害によるものです。頭部や体幹がふらふらと動揺してしまう千鳥足歩行を呈します。

小脳性によるものは眼で確認しても変化はありません。多くは患側側によろめきます。

失調性歩行

 深部知覚障害
 小脳障害
 千鳥足歩行
 酩酊歩行

鶏歩

腓骨神経の麻痺による尖足がある場合、脚を高く上げて足先を引きずるように歩行する。

(総)腓骨神経の麻痺により、前脛骨筋の働きがなくなったために発生します。
足先自体は「尖足」という状態になります。

歩く様子から鶏歩と呼ばれます。

鶏歩

 総腓骨神経麻痺
 足先は尖足・下垂足

動揺性歩行

下肢を交互に骨盤ごと持ち上げ、状態を支持足側に大きく傾け左右にゆすりながら歩く、腹を突き出し、状態を後方にのけそらした腰椎前弯姿勢を取る。

動揺性歩行は別名アヒル歩行とも呼ばれています。
下肢帯の筋力低下によって起こる歩き方なんですが、イメージわきにくいですよね。

上記0:30あたりから歩行の様子がはじまります。

動揺性歩行

 アヒル歩行
 進行性筋ジストロフィー
 多発性筋炎
 近位型脊髄性筋萎縮症

一番よく出題されるのは進行性筋ジストロフィーとアヒル歩行もしくはアヒル様歩行です。

最近では多発性筋炎に関する問題もよく模試で見かけます。

ヒステリー性歩行

ヒステリー患者ではあたかも麻痺があるような歩行をするが、いかにも誇張的である

自分の中では、構ってちゃん歩行と呼んでます。笑

実際はそんなに痛くなく、他人が見てない所では普通に歩くのに理学療法士など病院関係者が近づくと大げさに痛がったあるき方をします。

このような歩行をヒステリー性歩行といい、嘘なので疾患はありません。

国家試験で選択肢として出ても惑わされないよう注意です。

間欠性跛行

下肢に動脈硬化のある患者では歩行していると時々歩行できなくなる現象を言う

イメージとしては局所的な酸欠状態のような感じです。どんどん主だるくなり休憩をはさみたくなります。

臨床で聞いた話だと、横断歩道ですらあるききれないというケースもありました。

間欠性跛行

 動脈硬化症
 脊柱菅狭窄症
 バージャー病

トレンデレンブルグ歩行

股関節の外転筋の筋力が低下するために股関節が不安定となって跛行をきたす歩行である

この教科書の@跛行をきたす歩行である」という説明…

これも言われてもよくわからない歩行なんですが、健側の脚を上げるたびに健側骨盤が下がり、そのバランスのために患側の肩を下げて歩きます。

めんどくさい国家試験の問題だと「トレンデレンブルグ歩行は患側の骨盤がさがる」なんていう問題を出してくるかもしれません。これは誤りです。

トレンデレンブルグ歩行

 患側下肢で体重を支えると健側の骨盤が下がる
 墜落跛行
 中殿筋麻痺
 先天性股関節脱臼
 変形性股関節症

疼痛性跛行

下肢に疼痛があると、罹患側の下肢は注意深く地面に付き、設置時間を短くして健側の下肢を素早く前に出して歩行する。

これは別名だけ覚えておいてください。
疼痛性跛行は別名「逃避跛行」とも呼ばれています。

随意性跛行

周囲の人が注意すると正常に歩行するが、スバらくすると再び跛行が現れる現象である。

ヒステリー性跛行によく似ていますが、これは実際に何らかの原因があって跛行になります。
こどもに見られる疾患で股関節結核やペルテス病で見られます。

随意性跛行

 股関節結核
 ペルテス病

異常歩行についてまとめ

まとめ・ポイント

授業で実際に先生が歩行の様子を見せてくれる学校だったらわかりやすいですが、そんな丁寧な先生も少ないのでイメージがつかないものも多かったかもしれません。

特にトレンデレンブルグ歩行は、患側じゃなく健側の骨盤が下がるってどんな状態やねん。ってなりますよね。

理屈はわかっていてもなかなかわかりにくいので動画を参考にしていただければと思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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