骨折の固有症状について学ぶ
一般外傷症状について学ぶ
これは柔道整復師として絶対に外せないところです。最近は少しひねった問題も出されるようになってきましたので名前だけでなくちゃんと中身も覚えておくと安心です。
骨折の症状
骨折には他の様々な組織損傷を伴う。そのため骨折自体の症状の他に他組織の損傷症状も出現する
骨折する時ってやっぱり大きい外力がかかることが多いので、骨だけ折れているなんてことはめったに無いと思います。
骨折部周囲の軟部組織も傷ついていますし、折れた骨によっても2次的に損傷することもあります。
骨折時が発生したときにだけ見られる症状を「固有症状」といい、骨折以外でも見られるけど骨折してても見られる症状を「一般外傷症状」と言います。
どちらもこういう症状があったら骨折している可能性が高いとおもう内容ではありますが、骨折を下からと言って必ずその症状が発生するわけではありません。
骨折時の固有症状について
骨折時に現れる特有の症状である
固有症状は以下の通りです。
異常可動性
軋轢音
転位と変形
こゆいあて
こゆ(固有症状)い(異常可動性)あ(軋轢音)て(転位と変形)
脱臼の固有症状とごちゃごちゃになりやすいですが、骨折の場合は関節の変形は起こるとは言えません。
またこれらの固有症状は見られたら骨折しているよね!って話なので必ず骨折したときに見られるということでは無いことに注意です。
例えば、腕を触って異常可動性と軋轢音が確認できたでも変形はしてないみたいだから骨折はしてないかもってことではありません。
異常可動性がある時点で折れてるだろ!って話です。
それでは各固有症状を細かく解説していきます。
固有症状:異常可動性
骨折部における可動性であって特に長骨の完全骨折などに著名に現れる
異常可動性は異常運動とも言われています。本来動かないはずの骨のどこかで動きがありまるで関節のように骨が動くものです。
不全骨折
圧迫骨折
咬合骨折
関節付近での骨折
特に関節付近での骨折は関節の動きなのか骨折の異常可動性によるものなのか区別が難しいと考えられています。
臨床の現場では脱臼の整復時、関節の動きと異常可動性の見極めができずに実は骨折も伴っていたというケースがあります。
固有症状:軋轢音
異常運動の際に骨端線が互いに触れ合って出す音を言う
異常可動性のある部分を触りながら動かすと指先にわずかに触知できる程度のものです。バキバキ音がなったりするわけではないので、実際に触ってみないとわかりません。
私は整形外科の患者で骨折部位を触りましたが、本来動くはずのないところが動くのでゾワッとくる違和感が指に伝わりました。
軋轢音は異常可動性が認められるところでは必ず証明されるものではないので注意が必要です。
不全骨折
咬合骨折
圧迫骨折
骨折端が離開しているもの
軟部組織が介入したもの
上記の3つは異常可動性のときにもお伝えしたところですが、そもそも異常可動性が見られないと軋轢音は触知できないません。
なので軋轢音は不全骨折などで異常可動性を認めないところは触知できません。
骨折端が離開しているものと言うのは想像がつくと思いますが、筋肉の作用なんかで、骨折した後どこかに転位してしまった場合は、骨折端が離れているので触知できません
軟部組織が介入した場合というのは軟部組織(筋肉や靭帯など)が骨折端の間に入り込んでしまう状態です。
軋轢音が触知できないと同時に骨折端が噛み合わないので骨の癒合にも影響が出てきます。
固有症状:転位と変形
骨折により骨折端はお互いにずれたり曲がったりする。この骨の位置が変わることを転位といい。この転移によって外見上の変化が現れる
転位には一次転位と二次転位の2パターンあります。
一次転位:骨折時の力
二次転位:骨折後の外力・筋力・患肢の重量など
一次転位は文字通り、骨折時に発生した力によって骨が転移するものです。
転倒して骨をおった場合、骨をおるほどの衝撃が発生してますので、その力によって移動します。
二次転位はある程度は患者と医療関係者の努力で防ぐことができます。同しようもないものもあります。
骨折後の外力は患者をベッドへ移動させる際に強引に引っ張ったり、乱暴な取り扱い時に発生することがあります。
特に柔道整復師が注意しないと行けないのは、包帯を巻く際の固定肢位です。
乱暴に固定肢位を作ったり、または包帯を交換する際に骨折部を乱雑に扱うと発生します。
筋の牽引力でも発生します。特に大きい筋肉の付着部位(大胸筋・大腿四頭筋など)では大きく転位してしまいます。
最後の患肢の重量については、例えば下腿部の大腿骨折時に脚の重みによって外旋転位を引き起こしたりするものです。
側方転位
屈曲転位
捻転転位
延長転位
短縮転位
ここでは転位の種類を簡単に見ておくだけでオッケイです。
各論で嫌ってほど出てきます。
単純に側方転位が起きたらもう屈曲転位が起きないというわけではない点注意しておきましょう。
次からは一般外傷症状についてお伝えしていきます。
一般外傷症状について
骨損傷時にもみられるし、他組織の損傷にも見られる症状であるが、この症状だけでは骨折と断定できないもの
骨折の一般外傷症状は以下の3つです。
疼痛
腫脹
機能障害
一般的に冬しゅき
一般的(一般外傷症状)に冬(疼痛)しゅ(腫脹)き(機能障害)
「え?こんなけ簡単じゃん」と思いきや各項目におまけがたくさんついてきます。
一般外傷症状:疼痛
疼痛には、自発痛と直達性局所痛・介達痛の3つがあります。
自発痛
直達性局所痛(限局性圧痛)
介達痛
自発痛は骨折部を固定すると減少します。主に骨膜から発生している疼痛です。
直達性局所痛は限局性圧痛ともよばれ、打撲などでも見られます。特に骨折時には強い限局性圧痛が見られます。
この骨折時に現れる強い圧痛のことをマルゲーニュの圧痛点もしくはマルゲーニュ骨折痛といいます。
介達痛は直接患部を刺激しないで、離れた部位を刺激して患部に生じる痛みのことです。
介達痛には5つ種類があります。
軸圧痛
叩打痛
圧迫痛
牽引痛
動揺痛
書いたら事故明けどう?
書いた(介達痛)ら事(軸圧痛)故(叩打痛)明(圧迫痛)け(牽引痛)どう(動揺痛)?
国家試験にはこれ単品で出題されることは少ないかもしれません。普段の定期テストでは出てくるかもしれませんね。
文字を見ればどんなものかだいたい分かると思いますので詳しい説明は割愛しておきます。
例えば軸圧痛であれば大腿骨折などの場合、踵をとんとん叩いて軸圧方向に衝撃を与えて確認する方法です。
一般外傷症状:腫脹
骨折部には熱感を伴った腫脹が現れる。腫脹は軟部組織のみの損傷によっても起こるものであるが骨折の際には骨髄・骨質・骨膜及び周囲軟部組織の出血によって起こる。
骨折したらそりゃ腫れるよねってだけの話です。骨折時の血腫を骨折血腫といいます。そのまんまなので国試には出ません。
一般外傷症状:機能障害
受賞直後は患部付近の筋が一時的に鈍麻状態になったり、骨折部の動揺による激痛の発生を防止するために患者自身が動きを制限したり、また、体重の負荷が不能になるなどによって骨は支持器官としての働きを失う。
これも簡単に想像できますが、脚の骨が折れたら折れた方の脚で立とうと思っても立てませんし、痛みで荷重をかけることもできません。
骨折の症状まとめ
まずは固有症状と一般外傷症状を分けれることからはじめてもらい、どんどん細かい分類も覚え内容も覚えておきます。
一言一句覚えるというわけではないので、これはこんな感じ、あれはあんな感じと頭の中で整理しておくと必修問題で少しカーブのかかった問題がでても対応できます。
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