臨床医学

【わかりやすい】呼吸でみる生命兆候!「異常呼吸の種類」

このページで覚えるポイント
 
 異常呼吸について学ぶ
 

ビオー呼吸やクスマウル呼吸などがよく国家試験で目をします。

これは柔道整復師や鍼灸師だけに関わらずどの医療系の国家試験でもよく見かけますので覚えておくと便利です。

そもそも呼吸とは?

呼吸運動は肺内へ空気が出入りする機能である

呼吸には腹式呼吸と胸式呼吸の2つがあります。
胸郭をあげ、肋間筋の収縮により肋骨の挙上を行って呼吸を行うものを胸式呼吸といいます。
横隔膜の収縮を行って呼吸する方法を腹式呼吸といいます。

余談ですが、男性の方が胸式呼吸が多く、女性は腹式呼吸のほうが多いと言われています。

生命兆候として呼吸を観察すること

呼吸運動は生命の維持に最も重要な機能の1つであり、その異常の有無を確認することは生命兆候を把握する上で重要である。

生命兆候の確認項目に呼吸という項目があります。生命兆候(バイタルサイン)の確認項目についてもこのタイミングで復習しておきます。

生命兆候(バイタルサイン)

 体温
 脈拍
 血圧
 呼吸
 意識レベル

これに尿量を加えて6種類あるというものもあります。

正常な呼吸数やリズムを知っていないと異常呼吸がわかりませんので正常な呼吸についても覚えておきます。

正常な呼吸の定義

 呼吸数:16-20回/1分間
 呼吸数と脈拍比:3-4拍/1呼吸

呼吸の異常のまとめ

安静時に意識していなくても呼吸が正常な呼吸から乱れることが異常な呼吸です。
呼吸は意識的にも無意識的にもできる動作のため、意識的に異常な呼吸をしても異常呼吸ではありません。

主な呼吸の異常

 頻呼吸
 徐呼吸
 起座呼吸
 過換気
 チェーンストークス呼吸
 ビオー呼吸
 クスマウル呼吸
 呼吸困難
 周期性呼吸
 喘息性呼吸困難
など

それぞれの特徴的な呼吸の仕様とそれが起きる疾患についてまとめていきます。

頻呼吸について

呼吸数が増加している状態

はじめに一般的に言われている「過呼吸」という状態は頻呼吸もしくは過換気のことを差します

頻呼吸と過換気との違いは、呼吸の深さによります。通常よりも浅く早い呼吸になったものを「頻呼吸」といいます。呼吸数も大きさもともに多く深くなった呼吸を「過換気」といいます。

医療用語で「過呼吸」というのは呼吸数(頻度)は増加しておらず呼吸の深さのみが深くなったものを言います。

頻呼吸が発生する主な疾患・病態

 心不全
 肺炎
 髄膜炎
 尿毒症
 発熱

特に小児の発熱の際に頻呼吸となることが多い。

まとめてはいますが国家試験で出題されたことはありませんので、後回しにしたほうが良さそうです。
まず覚えないと行けないのはカタカナの名前がついている呼吸です。「ビオー呼吸」「チェーンストークス呼吸」「クスマウル呼吸」から覚えていきます。

徐呼吸について

呼吸数が減少した状態

呼吸数が減少した状態で呼吸の深さは関係しません。深くなることが多いですが、浅くなっていても呼吸数が減っていれば徐呼吸といいます。

徐呼吸が発生する主な疾患・病態

 頭蓋内圧亢進
 気管支の閉塞
 モルヒネ中毒

一時的に呼吸数が0になれば「無呼吸」と言います。

呼吸困難について

呼吸に際し、努力感や空気不足感を伴う状態のことを言う

正常であれば特に安静時では意識しない状態でも呼吸ができていますが、呼吸困難の状態では安静時でも息切れをしているような状態です。

呼吸困難が発生する主な疾患・病態

 心不全
 呼吸器疾患
 重症貧血
 呼吸筋麻痺

疾患を見たら、そりゃ呼吸困難なるよねっていう症状ばかりなので一つひとつを覚える必要はないです。ざっくり項目をみてなるほどなーと思って見ていただければと思います。

起座呼吸について

仰臥位になると呼吸困難が強くなる。座位や後ろに寄りかかったり、身体の前に布団をあてがって前に傾いたりして呼吸する

起座呼吸と聞くと、必ずしも前かがみと言うわけじゃなくて背もたれなんかにもたれた状態もある。

たまにエビ姿勢と一緒になっている人もいますが、あれは姿勢なだけで呼吸は関係していません。

もう少し説明するとエビ姿勢は胆石で現れますが、呼吸の異常は伴わないので(臨床的にはめっちゃ関係はしていますが…)選択肢として胆石症ー起座呼吸は誤りです。

話は起坐呼吸に戻します。

起座呼吸が発生する主な疾患・病態

 心不全(主に左)
 気管支喘息

心不全が発生すると、肺うっ血を起こします。肺に血液が溜まってくると座ったり立っている状態だと重力により、下の方に血液がたまりますよね。
ですが、寝てしまうと、肺にまんべんなくうっ血した血液が広がってしまうため呼吸がしにくくなります。

呼吸はできているんですが、うまく酸素交換ができない状態です。

過換気(換気亢進)について

呼吸数も大きさも異常に増加した状態

健常者でも激しい運動後に発生します。

過換気(換気亢進)が発生する主な疾患・病態

 尿毒症性昏睡
 糖尿病性昏睡

この上記2つはクスマウル呼吸でも発生します。
疾患による異常な過換気≒クスマウル呼吸と認識してOKです。

周期性呼吸について

早く深い呼吸をしたかと思うと次第に浅くなって無呼吸となり、再び大きな呼吸をすると行った呼吸運動を繰り返す状態を言う。

すでに勉強されている方はこの説明はもしかして「チェーンストークス呼吸」のことじゃない?ってなったかと思いますが、正解です。周期性呼吸≒チェーンストークス呼吸です。
ただ周期をもつ呼吸すべてがチェーンストークス呼吸では無いので注意が必要です。

この後に出てくる「ビオー呼吸」と「チェーンストークス呼吸」の大きな違いはこの周期性なのかどうかというとこです。ビオー呼吸は周期性ではありません。

周期性呼吸が発生する主な疾患・病態

 頭蓋内圧亢進
 重症心不全
 薬物中毒

周期性呼吸は予後不良の兆しです。

喘息性呼吸困難について

呼吸困難が発作的に起こる病態を喘息という。

気管支喘息では気管支などが閉塞して喘息が発生します。

喘息性呼吸困難の特徴

 呼気著しく延長
 吸気短縮

この項目はそもそも喘息性呼吸困難という病態がついていますので、特徴が出題されることがあります。

喘息では呼気が長く、吸気が短くなりゼーゼーとかヒューヒューとか音が周期的に聞こえてきます。

この呼吸を喘鳴と言いますのであわせて覚えておくといいですね。

ビオー呼吸について

呼吸リズム、呼吸数、換気量および無呼吸時間がすべて不規則に混在する異常呼吸である。

一定の間隔というわけではなく不規則に呼吸が変化していくのが特徴です。
無呼吸状態になることもあります。

ビオー呼吸が発生する主な疾患・病態

 脳炎
 脳腫瘍
 髄膜炎
 頭蓋内圧亢進

鍼灸師の教科書には記載がありませんが出題されることは多々ありますので覚えておきます。

一番は「頭蓋内圧亢進(脳圧亢進)」です。

特徴で捉える異常呼吸

まとめを見たけどいまいちポイントを掴みきれないというあなたに別アングルで説明をしていきます。

呼吸の異常で覚えるのはカタカナの名前のついた3つの異常呼吸です。

それぞれの特徴を覚えたらOKなんですが、手っ取り早く1点取る方法があります。

「ー」があるものは無呼吸になる。

チェーンストークス呼吸とビオー呼吸は「ー(伸ばし棒)」があるので無呼吸になりますが、「クスマウル呼吸」は伸ばし棒がないので無呼吸にならないとおぼえます。(あくまでイメージでの覚え方です。)

あとは「チェーンストークス呼吸」ですが、チェーンすなわち「鎖のように」という意味なので呼吸は真ん中に行くに連れて大きくなり、呼吸の波形が鎖状になっているのが特徴です。

呼吸の異常まとめ

呼吸について完全にマスターできましたでしょうか、これは臨床医学(一般臨床)の内容で生理学や解剖学の話は除いています。

呼吸中枢や反射は別に記載するかココに追記していきますので今回はここまで最後までお読みいただきありがとうございます。

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お好みの文章量で学習していただければと思います。

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